-ごきねんやぐら
【御祈念櫓】 (移築・現存)

本丸北東隅にある二階櫓。
御祈念櫓(夏)
大正九年(1902)北九州市八幡東区の大正寺に観音堂として移築されていたが、
昭和五十八年(1983)元の位置に戻った。
福岡県指定文化財。


御祈念とは何を祈念しているのか?
ここは本丸の北東隅、つまりウシトラの方角だ。
そのため、鬼門封じの念を込めた櫓なのだ。

御祈念櫓(冬)
冬はこんな感じ。ちょっと寂しい。
櫓のどっしりとした重厚感がないのだ。


佐藤正彦氏によると、現在の御祈念櫓は移築前の古写真と合わないそうだ。
幅が約半分になっており、花頭窓(かとうまど=軍艦の砲弾のような形の窓)もない。
それについて氏は、大正寺に移築された際、規模、形状は踏襲しなかったもの、
と判断している。

さらに荻野忠行氏はもっと踏み込んで、現在の御祈念櫓は、実は月見櫓の改変されたものとされている。
そして、本来の御祈念櫓は北九州市の大正寺の本堂の部材として使われた、と結論づけている。
たいへん説得力があるので、興味のある方は、『福岡城祈念櫓・月見櫓・大手門のなぞ』を読んでみて下さい。

すると、御祈念櫓はすでに失われているということになる。
残念だが、たぶんそうだと思う。


なお、御記念櫓の東側の石垣が膨らんでいるのが気にかかる。
崩れかかっているのではないだろうか。
膨らんでいる石垣